ジャレド・ダイヤモンド『銃・病原菌・鉄』(下)(2000)


ジャレド・ダイヤモンド『銃・病原菌・鉄 
一万三〇〇〇年にわたる人類史の謎』(下)を読む。
UCLA医学部教授が執筆した
「東アジア・太平洋域から見た人類史」である。


銃・病原菌・鉄〈下巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎

銃・病原菌・鉄〈下巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎


家畜とし栽培することができた野生動植物の種を多く持つこと。
技術の伝播を比較的容易にする東西に広がる大陸であること。
その結果としてユーラシアの人類は
他大陸に生きる人類より優位に立った。
人種の違いより環境の違いが、
征服する社会、征服される社会を決定する
最大の要因になったと著者は説く。



一万三〇〇〇年の時間の物差しで
モノを考えることは普段はそうない。
しかし、著者の複数領域の学問にまたがる洞察の成果で、
そうした視点、思考法を
読者である僕たちも手に入れることができる。


余剰食糧の確保が人類社会の発展を進め、
同時に解決困難な問題を生んだ源になったとは
なんと皮肉なことだろうか。
飢えからの脱出が、次なる欲望を生み出すことに直結した。



草思社は経営危機を乗り越え、2000年にこの本を発売。
以来10年、ロングセラーとなってきた。
志ある出版社の存在は、
僕たちが暮らす社会の共有財産である。
身銭を切って本を購入することで
僕もそうした出版社の活動を個人としても支援していきたい。


朝日新聞社企画、151人の書評家が選ぶ
「00年代のベスト50冊」第一位。


wikipedia:en:Jared Diamond