俵万智『未来のサイズ』(角川文化振興財団、2020)

この本の著者略歴で1996年から
読売歌壇選者を務めていることを知った。
俵万智『未来のサイズ』(角川文化振興財団、2020)を読む。


未来のサイズ

未来のサイズ

  • 作者:俵 万智
  • 発売日: 2020/10/02
  • メディア: 単行本
(装幀 菊池信義)


「あとがき」から引用する。


  短歌は、日々の心の揺れから生まれる。
  どんなに小さくても「あっ」と心が揺れたとき、
  立ちどまって味わいなおす。
  その時間は、とても豊かだ。
  歌を詠むとは、日常を丁寧に生きることなのだと感じる。


  二〇二〇年、突然日常が失われた。
  コロナ禍のなかで、これまでの当たり前が、
  次々と当たり前ではなくなっていった。
  今までにない非日常の暮らし。
  けれどそれさえも、続けばまた日常になってゆく。
  そこから歌が生まれる。
  Iには、主にその時期のものをまとめた。


  二〇一三年から二〇二〇年まで。
  足かけ八年の第六歌集となる。
  四百十八首を選んで構成した。
  この間の個人史で一番大きかったのは、住まいを移したことだ。
  まる五年を暮らした石垣島から、縁あって宮崎へ。
  息子が中学生になるタイミングだった。
  おおむねⅡが石垣島、Ⅲが宮崎での歌となる。
  

  子育てを通して、社会のありようへの関心を深めた時期でもあった。
  子どもたちの「未来のサイズ」が、
  大きくたっぷりしたものであることを、祈らずにはいられない。
  (略)


  短歌は、日記よりも手紙に似ている。
  読んでくれる人の心に届くことを願って、いま、そっと封をします。

                         (pp.179-181)


俵万智が本の題名にその一部を採用した歌は
こんな歌だ。


  制服は未来のサイズ入学のどの子もどの子も未来着ている

                        (p.96)


f:id:yukionakayama:20210111162033j:plain:w600