Alex Roman "The Third & The Seventh" (2009)


Arsでは会場が10カ所に分かれている。
Brucknerhausのようなクラシック音楽のためのホールもあれば、
Kunstuniversität Linzのように美術大学キャンパスもある。
一週間、さまざまなプログラムを自分の興味関心で追いかけるうちに
リンツの街を自然にウォーキングすることになる。
心身の健康に実によい。



初日のまだほとんど人のいないBrucknerhausでみた短編、
Alex Roman "The Third & The Seventh" が
心に焼き付いて離れない。
ほぼ人が出てこず、図書館とおぼしき場所を
カメラそのものが登場して撮影していくさまを
フルCGで仕上げた映像だ。
インターネットで制作プロセスをすべて公開している。
計算し尽くした映像の積み重ねで
物語らしい物語は一切排除されているのに叙情が伝わってくる。



Alex Roman監督自身はリンツに来られず、
本人のプレゼンテーションを聴くことはできなかった。
映像、サウンドデザインのほとんどをAlexひとりがやっている。
テクノロジーの進化は、ハリウッドとなんら関係のない場所から
才能ある監督を誕生させる。
時代は明らかに変わったのだ。