「銀座百点」編集部編『私の銀座』を読む。
タウン誌の草分け「銀座百点」は
以前銀ブラの折りにときおり目にすることがあった。
広告だらけのそこらのタウン誌と異なり
品格と内容の充実はひと味もふた味も違った。
つまり手にすれば読むものがちゃんとあるのだ。
- 作者: 「銀座百点」編集部
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2012/03/28
- メディア: 文庫
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「銀座百点」に掲載されたエッセイを再編集。
有吉佐和子から林真理子まで60人が競演する、
ひとり平均5頁の「私の銀座」。
60通りの銀座を一冊の文庫で楽しめるのが読者の特権だ。
(銀座でうまい飯を食わせた「きっど」。もうない)
僕も銀座にオフィスを持つ会社に
30代の頃、二年少々出向して務めた経験がある。
銀座四丁目から一分もかからぬ銀座のど真ん中であった。
通うのも銀座、昼食を取るのも銀座、
そして仕事が終わればそこは銀座である。
(「きっど」名物のひとつ、豚茄子ピー定食)
その会社もいまはなくなり、当時通っていた本屋も、
うまい昼食を食べさせてくれた店もなくなった。
「僕の銀座」はもはや記憶の中にしか存在しなくなった。
それでも銀座は相変わらず特別の街である。
『私の銀座』は新潮文庫オリジナル。
文庫にふさわしい、いい企画である。
(文中敬称略)