工藤美代子『絢爛たる悪運 岸信介伝』(2012)


工藤美代子『絢爛たる悪運 岸信介伝』を読む。
まずタイトルがいい。
早野透田中角栄ー戦後日本の悲しき自画像』と並行して読むと、
岸から田中へとつながる時代の日本の政治経済が浮かび上がる。


絢爛たる悪運 岸信介伝

絢爛たる悪運 岸信介伝


満州開拓のキーパーソンであった時代。
A級戦犯として巣鴨に留置されていた時代。
総理に上り詰め60年安保改訂を断行した時代。
政治家には悪運が必要であると岸は言う。
清廉潔白であっても結果が出せないとしたら
政治家は失格であるとの主張にも耳を傾けたくなる。



400字詰め970枚。
工藤渾身の書き下ろしが今年57冊目の読了本になった。
期せずして岸の孫、安倍晋三が二度目の総理を務め、
私たちの国を再び舵取りをすることが決まった2012年暮れである。



みなさん、どうぞよい年をお過ごしください。
2013年もときおり「デジタルノート」にお越しくださいますよう。


田中角栄 - 戦後日本の悲しき自画像 (中公新書)

田中角栄 - 戦後日本の悲しき自画像 (中公新書)


(文中敬称略)