岡田英弘『康煕帝の手紙』(1979)


これはまたべらぼうに面白い本だ。
岡田英弘康煕帝の手紙』を読む。
藤原書店が単行本として今年1月に復刊するまで
幻の新書であった。



初版当時の定価が360円。
アマゾンの古本屋で探して2,200円。
送料250円が別途かかる。計2,450円。
しかし、それ以上の値打ちが充分ある。



清の皇帝・康煕帝が1696、97年に
宿敵ガルダン征伐に三度遠征した際に
都に残した皇太子に送った陣中便りが本書の核である。
名君と言われた康煕帝が砂漠の地でなにを思い、
どんな指示を部下たちにしたか事細かに分かる史料なのだ。



皇帝が目的を達成した後に
皇太子を襲う悲劇が史実に厚みを加える。
間違いなく名著である。
岡田英弘、48歳の作品。


(文中敬称略)


康煕帝の手紙 (〈清朝史叢書〉)

康煕帝の手紙 (〈清朝史叢書〉)