タミム・アンサーリー『イスラームから見た「世界史」』(2011)


充実した内容の本を読んだなぁ、と満足感があった。
タミム・アンサーリー『イスラームから見た「世界史」』
(2011/小沢千重子訳)を読み終えた。


イスラームから見た「世界史」

イスラームから見た「世界史」


通常の世界史はヨーロッパ視点である。
その世界史ではイスラームは添え物のように触れられるだけで、
異物扱いの印象を残す。
けれども、イスラームから見た世界史はまるで像が異なる。
9/11から現在に至るまで、混沌と見える世界の様子を理解しようとするなら
二つの合わせ鏡で像を結ぶ努力が要る。


著者はアフガニスタンの父親、アメリカの母親を持ち、
アメリカ社会で暮らす作家である。
シーア派スンニ派の違いすら分からず
イスラームテロリズムを語るのは確かにとても危険なことだ。
685頁と大部にも関わらず読みやすく、感情を抑制した語り口で
欠落していた世界史の像を映し出し、僕たちの歴史理解を助ける。



本書は池上彰『おとなの教養』巻末文献案内で知った。
我が家に一番近いK図書館にも所蔵されていて、
二週間ずつ二度に分けて借り読了した。
紀伊國屋書店出版。


Destiny Disrupted: A History of the World Through Islamic Eyes

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