ゴツゴツした文章を読み進むうちに
「あれ、なんだか『資本論』のエッセンスが
分かってきた気がするぞ」と思える瞬間が何度かあった。
宇野弘蔵『経済原論』を読む。
- 作者: 宇野弘蔵
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2016/01/16
- メディア: 文庫
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『資本論』全3巻は文庫本だと全9冊。
そのエッセンスを250頁の文庫にまとめ、
なおかつ24の問題点を列挙する。
『資本論』の内容は一字一句たりとも疑うべからず、
とするマルクス主義経済学者を宇野は痛烈に批判する。
例え天才マルクスと言えど、
間違えもするし、議論が不充分な箇所もある。
それを読み解くことこそ真にマルクスを現代に活かす道だ、
と宇野は説く。
とは言え、宇野の文章は決して読みやすいとは言えない。
あちらでゴツン、こちらでゴツンとぶつかりながら
理解できない箇所は飛ばしてでも通読するうちに
『資本論』の一番伝えたいことが染み込んでくる気がする。
まるでスルメだね。
内容を一文には要約できないけれども、
自分が生きている時代を『資本論』のレンズで眺めると
見晴らしがよくなった感じがする。
なぜ給料が上がらないのか。
なぜ大企業はグローバル化をめざすのか。
自分なりの答えが見つかる。
1964年、東京オリンピックの年に
岩波全書として出版。
52年後に文庫で甦った。
宇野が昭和33年以来法政大学社会学部で
講義してきたのが『経済原論』だ。
- 作者: 宇野弘蔵
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1964
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(文中敬称略)