田子町のにんにくつかみ取り、229円


いやしくも広告で糊口をしのぐ身、
通勤の朝、社屋テナント各店のチラシ配布に仏頂面だけはすまいと誓う。
とは言え、銀行ローンや使い捨てコンタクトレンズにもはや用はない。
せっかくチラシをいただいても、職場のゴミ箱に一直線。
枚数ははけるかもしれないが、お互い意味がない。
資源の無駄遣いそのものだ。


でも、ときどき自分にも関係ありそうなチラシがあって
なんとなく気配を察する。
40年近くこの道でごはんを食べさせてもらっているから
身についた勘なのか。


青森県田子(たっこ)町が社屋地下二階一角に
アンテナショップを開いていて、早開店一周年。
その記念に昨日と今日、お昼時に田子町の名産ニンニクを
つかみどり229円(にんにくの語呂合わせなんでしょうね)で提供すると
もらったチラシに書いてある。


昼ごはんのついでに覗いてみました。
法被を着た店員のおばちゃん四五人と、
ちょいと気の弱そうなお兄ちゃん。
確かチラシを配っていた人だ。
客は僕ひとり。


ビニール手袋をして、いざつかみ取りにかかると
おばちゃんが「手を逆にして掬うといっぱい取れるよ」
と教えてくれる。
え、そんなのアリですか?
僕は指が長くて手が大きめなので、
ザクッと沢山取れちゃいます。



  (これ全部で229円ですぜ。買わない方が不思議)


そのビニール袋におばちゃんが
さらに一個二個三個とおまけの嵐。
いやぁ、田子の上質なニンニクを
229円でこんなにもらえるなんて。
うっかりすると、勤務の合間の昼休みであることを忘れて
近所で買い物している気分になっちゃいそうです。


いやいやトクをしたとモールを歩いていると、
あれ、いつも仕事をしているTさんと女子ふたりが
ニヤニヤこちらを見ています。
さては、つかみ取りの一部始終を見ていたな!
女子二人はデザイナーでこれから目の前のアドミュージアム
仕事の打合せが始まるみたいです。


でも、「おトク」「つかみ取り」には
若手デザイナー女子も弱いんですね。
僕がチラシをあげるとジッとのぞき込んでいました。
そこに親分である大クリエーティブ・ディレクターYさんがやってきて
子分の女子二人はあろうことかニンニクつかみ取りのチラシを
Yさんに見せてます。


もちろんこれから仕事の打合せが始まるYさんは
怪訝な顔&困り顔。
やめてよ、女子たち。
僕の昼休みのお買い物と、君らの仕事の打合せは
ちゃんと線を引いてくれないと、僕が困るじゃん。
ね、Yさん。



ちなみに近所のスーパーSで値段を確かめると
ここも昨日今日の特売で青森のニンニク一個248円(税抜き)でした。
となると……優に1,000円分以上はありますぜ、
今日の収穫。
一桁安い中国産とは味が違うものね。



  (クックパッドのレシピを参考に胡麻油を入れてホイル焼き。
  焼けたら塩を振って……パクリ。旨すぎる!)


せっかく品揃えも面白いし、
開店一周年ニンニクつかみ取りもやっているのに
なんだかこの店、印象が薄い。
第一、店名が思い出せない。
もう一度戻って確かめると「ナチュラルパーク」。


あ、これじゃダメだ。
都会に媚びすぎたネーミングで
せっかくの地元のよさが伝わらない。もったいない。
客引きも気の弱いお兄ちゃんより、
おばちゃんたちをトレーニングした方が面白そう。
これじゃ、誰も気がつかないもんな。


どうやら複数の市町村が共同経営しているようで、
だからネーミングもピンぼけになっちゃうんだろうな。
ズバリ「たっこガーリックパーク」とは言えない事情があるんでしょうね。
フィーをいただければ、いろいろ助言できそうだけどな。
あれこれと、余計なお世話でしたっ!