『関口存男の生涯と業績』を拾い読みしている。
ドイツ語・ドイツ文化研究者だ。
1958年急逝後、弟子だった荒木茂雄、真鍋良一、藤田栄が
編集責任者として一巻にまとめ翌59年7月25日第1版発行。
この本が面白いのは、
独逸語勉強法など先生自身の文章があるかと思えば、
家族の作文があり、お弟子さんや仕事仲間の文章があると言う具合に
種々雑多な文集であることだ。
先生を慕い、先生の逝去を惜しむ身内の出版のようなものだが、
多様な内容で読んでいて愉しい。
先生の文章は本質を突いていて、かつ漫談のように痛快で、
現在なら削除修正を求められるような表現もふんだんに使われている。
大学で教えていたこともあったが、
在野の学者で、自身が創刊したドイツ語普及のための雑誌や、
NHKドイツ語講座でも獅子奮迅の活躍をしている。
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独語学者・関口存男、英語学者・松本亨、国語学者・小西甚一、
数学者・遠山啓、歴史学者・岡田英弘、宮崎市定。
僕がもっとも敬愛する学者たちは決まって
啓蒙を自身の研究と同等に扱い、活動してきた人たちだ。
関口先生の率直で偏屈な人柄も、
時間と距離を隔てた僕には微笑ましい。
たいそうな肩書きを持つアカデミアの凡庸な学者と比べれば、
サリエリに対するモーツァルトと言ったところか。
先生の業績に対して嫉妬と黙殺が学界で続いているのも
むべなるかなと思える。
ちなみに本書の原題は『関口存男』とシンプルである。
先生の署名をそのまま本のタイトルにしている。
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(文中一部敬称略)