井筒俊彦『言語と呪術』(慶應義塾大学出版会、1956英文/2018全訳)

いやぁ、シビれました。
暮れの吉例神保町ツアーで、
平積みの棚から僕を呼んでやまなかった一冊です。
井筒俊彦『言語と呪術』(安藤礼二監訳/小野純一訳)
慶應義塾大学出版会、2018)。


言語と呪術 (井筒俊彦英文著作翻訳コレクション)

言語と呪術 (井筒俊彦英文著作翻訳コレクション)


著者が日本人なのに監訳者、訳者がいるのは、
井筒が英語で書いた「英文著作翻訳コレクション」(全7巻)の
一冊だからです。
本書の目的は井筒自身が明快に書いている。
引用する。


   本書の目的を簡潔に述べるなら、次の通りである。
   世界で広く、また古くから信じられている
   言語の呪術的な力を考察すること。
   そして、それが人の思考および行動の様式に与える影響を検討すること。
   最後に、呪術と言語とのあいだにある
   密接なつながりの本性と起源について
   可能な限り体系的な探求を成し遂げることである。
                           (p.5)


こうした基本書は3回通読することによって
格段に理解が深まっていくことは既に体験済みだ。
ああ、いい本に出会えてよかった!


本書は井筒の英文著作処女作で
原題は、"Language and Magic: Studies in the Magical Function of Speech" (1956)。
関係者の多年に及ぶ骨折りで
英文出版から62年後に日本語訳が完成した。
一読者として感謝したい。


(1956年版の誤植等を修正した2011年英文決定版。日本語訳底本)
wikipedia: 井筒俊彦