副島隆彦『トランプ大統領とアメリカの真実』(日本文芸社、2016)

副島先生の本は読み慣れてくると面白くなる。
ちょっといかがわしそうで最初は警戒するのだが、
他の人が書かないことを書いている。
その予言が当たっているから傾聴に値するのだ。
副島隆彦トランプ大統領アメリカの真実』(日本文芸社、2016)を読む。


トランプ大統領とアメリカの真実

トランプ大統領とアメリカの真実


序文からして自信満々だ。
「はじめに—「次はトランプ」だ」を引用する。


  「次の米(べい)大統領は決まりだ」と、
  私はこの2016年5月22日に決めた。
  私の政治分析に基づくこの予測(予言)は、
  この本が出る7月の初めでもまだ誰も公言できないことだ。


  私の専門(プロパー)は、
  現在のアメリカ政治思想(ポリティカル・ソート)の諸流派の研究である。
 「トランプが当選する」と私は誰よりも早く決心して書いた。
  私が主宰するインターネット上のサイトである
  「副島隆彦の学問道場」に書いて載せた。
  それはなぜか?


  このあと7月18日の共和党の党大会で、
  ドナルド・トランプが党の候補者としての指名(ノミネーション)を獲得する。
  そして、そのあとの11月8日の本選挙までさらに3カ月ある。
  その間にトランプがどのように勝ち進むか。
  この本を読めば、「トランプ勝利に至り着くアメリカ政治の真実」が大きくわかる。
  (略)


  思い起こせば、今から8年前の2008年の米大統領選で、
 「次はオバマという黒人だ。ヒラリーは負ける」と一番乗りで予言した。
  私はその前年(2007年)にそのことを自分の本に書いた。


  これを国家情報官(インテリジェンス・オフィサー)
 (引用者注:正しくは元外務省主任分析官)である
  佐藤優(まさる)氏が評価してくれて、
 「副島さんが誰よりも早かったですね。
  次はオバマだ、と決め打ちしましたからね」
  と、褒(ほ)めてくれた。
                            (pp.1-2)


副島先生は無論、山勘でトランプ当選を当てた訳ではない。
2016年5月18日、トランプが娘イヴァンカの夫ジャレッド・クシュナーを同行させ、
ニューヨーク・アッパーイーストの
ヘンリー・キッシンジャー宅を訪問した意味を読み解いたのだ。


本書の構成は以下の通り。


  第1章 トランプ大統領の誕生
  第2章 トランプ旋風とアメリカ大統領選の行方
  第3章 ドナルド・トランプとは何者か
  第4章 アメリカのアイソレーショニストとポピュリストたち
  第5章 リバータリアニズムとアメリカ政治思想
  第6章 ヒラリーなら第3次世界大戦になる。
  おわりに
  トランプ 大統領選挙 日々の記録
  ドナルド・トランプの人生の軌跡


     担当:水波康(日本文芸社編集長)
        山根裕之(グラマラス・ヒッピーズ)


いざトランプが米大統領に当選したとたん、
すべて想定内だったような顔をしてとぼけている
政治家、評論家、作家はまったく当てにならない。
副島先生の著作に目を通しておく方が、
アメリカを中心とする近未来予測の読み解き確率が遙かに上がる。


世界覇権国アメリカを動かす政治家と知識人たち (講談社+α文庫)

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属国・日本論

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決定版 属国 日本論

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(副島先生自身が主著とする二冊。『属国・日本論』は決定版が9月26日に出る)