クリッピングから
原泰久『キングダム』第54巻(ヤングジャンプ コミックス、2019)
巻末掲載「原泰久20,000字インタビュー」
- 作者:原 泰久
- 発売日: 2019/04/19
- メディア: コミック
漫画『キングダム』という偶然、
映画『キングダム』という必然。
(取材・構成/週刊ヤングジャンプ編集部)
(略)
漫画家なのに意外と思われるのですが、
僕はバリバリの理系学生だったんです。
中学のときから、数学とか理科の成績が良かったんですよ。
今やっていることと真逆なんですが、国語は苦手で…(笑)
(略)
漫画を描く上で、理系の考え方が役立っていることはかなりあります。
例えば、『キングダム』は『史記』という
中国の歴史書を元に作られているのですが、
『史記』の中味はちょっと複雑な構成になっています。
国ごとの歴史が描かれている「本紀」と「世家 (せいけ)」、
人物ごとの逸話が記されている「列伝」など、
まとめられ方が時系列ではないんです。
そこで僕はExcelを使って自分なりの年表にリライトし、
さらにその年表から必要に応じてエピソードの取捨選択を繰り返し、
物語へと落とし込んでいきました。
これはまさに理系的な作業だと思います。
『キングダム』はキャラクターも多く、
史実に沿わなければならない歴史的な制約もあり、とにかく要素が膨大です。
本当に考えて設計しないと読者もついて来れないし、
描いている方も空中分解してしまう。
今このお話が受け入れてもらえているのは、
ギリギリこの”年表”からストーリーへの落とし込みが
うまく行っているからではないかと思っています。
(pp.218-220)
2019年の映画公開を記念し、
原作者・原泰久に20,000字インタビューを実施。
その内容が面白かった。
システムエンジニア(SE)として3年弱の社会人経験を持つ原は
その理系思考を大作漫画『キングダム』のストーリー設計に使っていた。
物語に登場する趙の大将軍・李牧(りぼく)のような一面を持っていたのか、
となんだか合点がいった。
- 作者:原泰久
- 発売日: 2020/03/19
- メディア: コミック
志望の九州大学不合格。
入学した芸工大で映像研究室に応募したものの落選。
ストーリー漫画を描きたかったのに
4コマ漫画の依頼しか来なかった大学時代。
SEとなり自分のバグのために勤務先にかけた多大な損害。
退職後、満を持して持ち込んだ原稿への編集者の酷評。
数々の困難を乗り越え、
原は2005年に『キングダム』連載を決め、翌06年1月連載開始。
30歳。
会社を辞めて3年。
社会人生活でためた貯金がちょうど尽きようとしていた頃だった。
- 作者:司馬 遷
- 発売日: 1997/07/01
- メディア: 文庫
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- 発売日: 2019/11/06
- メディア: Blu-ray