89歳元営業職員、19億円詐取の疑い

どなたかに小説、もしくはノンフィクションに
書いていただきたいなぁ、と思える事件が現実に起きることがある。


クリッピングから
朝日新聞2020年10月13日朝刊
第一生命なぜ不正見抜けず
89歳元営業職員、19億円詐取の疑い


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  計19億円のお金を顧客からだまし取った疑いのある
  第一生命保険の元営業職員(89)は、
  トップクラスの成績で特別な地位を社内で与えられていた。
  なぜ不正が長年続けられ、会社側は見抜けなかったのか。
  金融庁は同社に全容解明などを求め、
  保険業法に基づく報告徴求命令を12日までに出した。


  同社によると、元職員は山口県を拠点に50年以上保険販売に携わってきた。
  10年以上前から今年4月まで、少なくとも顧客21人から19億円を不正に詐取。
  勧誘時に、第一生命の「特別枠」によって高金利で運用できるといった、
  うその話を持ちかけていた。
  同社は6月に顧客から連絡を受け、調査後の7月3日付で職員を解雇。
  山口県警に詐取容疑で刑事告発した。
  (略)


  元職員は地元政財界でも有名な人物。
  第一生命のトップクラスの「成績優秀者」で
  「上席特別参与」の肩書をアピールしていた。
  この名誉称号は「顧客数や契約高などで一定基準を達成した際、
  特別な表彰を受けて与えられる」(同社)という。
  全国約4万4千人(4月時点)の営業職員がいる同社で、
  この肩書は十数人にとどまる。


  元職員への優遇ぶりは際立つ。
  同社の営業職員は65歳定年で、80歳まで1年更新の勤務規定。
  89歳の元職員は「特別調査役」の地位を与えられ、今年7月まで勤めていた。
  特別調査役はこの職員1人だったという。
  同社は特別待遇について
  「保有契約が多く、80歳までに顧客の引き継ぎの完了が難しかったことから、
  営業職の一つとして設けていた」と説明する。
  (略)

                          (柴田秀並、山下裕志)


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『BUTTER』を書いた柚木麻子さん、
次の作品の題材にいかがでしょう。
1998年に起きた和歌山毒物カレー事件の林眞須美容疑者を
モデルとしたのかなぁと思えた作品でした。


BUTTER(新潮文庫)

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「少なくとも顧客21人から19億円を不正に詐取」した容疑ということは、
顧客1人当たり約9,000万円、最大の被害者は2億8千万円でした。
89歳の「特別調査役」は超富裕層にターゲットを絞り、
着実に詐取していたことが分かりますね。
事件の舞台裏、動機を知りたいなぁ。