かすてらの底のざらめに刃を落とす(toron*)

クリッピングから
讀賣新聞2021年5月24日朝刊
読売歌壇(俵万智選)


今週も好きな歌3首、抜き書きします。


  かすてらの底のざらめへ刃を落とす
  嫉妬はきっとこんな感触

          大阪市 toron*


toron*さんの言葉の選び方が僕は好きです。
こんな嫉妬、ちょっと怖い。


  渡ったら彼女の気持ちを読み取れる
  横断歩道があっても困る

         鹿児島市 石井颯吾


     【評】結句で予想を裏切られる一首だ。
        「あったらいいな」と思う気持ちで詠みはじめ、
        いや、やっぱり、と逡巡(しゅんじゅん)する感じが面白い。


子どもの頃、人の心が読める超能力者に憧れました。
大人になって、そんな能力は決して欲しくない、
と思うようになりました。


  主電源切らないままで眠るから
  ときどき夢が上映される

        上尾市 関根裕治


     【評】夢をなぜみるのか、のユニークな解釈だ。
        パソコンの電源を切らない「スリープ状態」が、
        隠れたキーワードになっている。


万智さんに隠れたキーワードを教えてもらって
もう一度歌を読み直しました。
味わいが深くなったようでした。


(下線部クリックで同じ作者の別の歌が読めます)


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