わたしが好きな助動詞はmay(関根裕治)

クリッピングから
讀賣新聞2020年1月4日朝刊 「新春詠」
読売歌壇・俳壇8人の選者が
新春を言祝ぐ短歌・俳句を寄せました。
わが師匠、俵万智さんの歌です。


  休日


  コロナにはあらねど我も病床を埋める一人となる十二月

  雑談にヒョンビンファンを見つけたり看護師さんの休日思う

  病棟にポストの位置を確認す世界とつながる通路のごとし


万智さん、年末に入院していたのですね。
毎週月曜掲載「読売歌壇」の選評は休みなく続いていたので
まったく気づきませんでした。
一日も早く回復なさいますように。


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2021年最初の掲載歌から
好きな作品3首、抜き書きします。


  老いし今若き頃より絶対に
  かしこくなってる当社比なれど

      匝瑳(そうさ)市 椎名昭雄


     【評】「当社比」はコマーシャルなどで商品に用いられる表現。
        老いることをポジティブに捉えつつ、
        謙虚な結句でクスッと笑わせる。
         

  must・should・needの圧に萎縮する
  わたしが好きな助動詞はmay

           上尾市 関根裕治


     【評】英単語を用いたユニークな一首。
       「○○すべし」の威圧感よりも「○○してもいい」の優しさ。
        前者の数の多さが効いている。


短歌はこんなに自由に言葉を使えるんだなぁ。
僕はまだまだ先入観に囚われています。


  パピヨンのミニヨンのまたシニヨン
  ヨンに小さくこころが躍る

          茨木市 瀬川幸子


ミニヨンはミニクロワッサン、
シニヨンはポニーテールを丸めた髪型なんですね。
意味が分かると、この歌の可愛さが伝わってきました。


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未来のサイズ

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  • 作者:俵 万智
  • 発売日: 2020/10/02
  • メディア: 単行本