「ママ友はいわば同業他社」という(坂庭悦子)

クリッピングから
讀賣新聞2020年8月18日朝刊
読売歌壇(俵万智選)


今週は最優秀作3首がどれも魅力的だった。
それぞれに俵さんが添えた評が的確で面白く
短歌づくりの勉強になる(なかなか実践には結びつきませんが)。


  瞳への水やりとして目薬を
  二滴ずつ差す真夏の日課

         高島市 宮園佳代美


     【評】夏場は冷房などで目が乾きやすい。
        「瞳への水やり」と捉えたアイデアが素晴らしい。
        目は芽にも通じる。毎日の点眼が、
        こう思うと植物を育てているようで、楽しくなる。


  延期から中止になったイベントを
  追いかけてゆく修正テープ

         燕市 田巻由美子


     【評】日本中で、こういうことが起きているのだろう。
        プリントやポスターを上書きするたびに、
        振り回される現場の様子が、
        修正テープの擬人化で鮮やかに伝わってくる。


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  「ママ友はいわば同業他社」という
  回答すがしラジオ相談

         足利市 坂庭悦子


     【評】同じ会社の同僚と思うから
       「なぜ?」や「ヒドイ!」という感情が芽生えるのか。
        ちょっと切ないが、割り切りも大事。


俵さんの評を読んで、それぞれの歌を読み直すと、
味わいが深まっておトクです。


優秀作の中ではこの歌が好きでした。


     店前にハイビスカスの赤燃えて
     入ってみたい路地のバーバー

            宇都宮市 佐藤順子


その好奇心、分かるような気がします。
いざ入るとなると勇気が要りますけれど。


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