わたしはとても街路樹だった(朝野陽々)

クリッピングから
讀賣新聞2021年7月26日朝刊
読売歌壇(俵万智選)


今週は好きな歌、4首抜き書きします。


  簡単に揺れる心を持ちながら
  わたしはとても街路樹だった

        奈良市 朝野陽々


    【評】不思議で魅力的な下の句だ。
       こうとしか言いようがないという力強さを感じる。
       「まるで街路樹」とか「とても臆病」では、
       この味わいは出せない。


  モンベルのコットンシャツをシェアできる
  娘小六一瞬の夏

            東京都 玉井洋介


後で振り返れば
「一瞬」の出来事になってしまうんですね。
父の気持ちになると、切ない。


  「きょうのあさごめんね」って三歳に
  先を越されてゆうやけこやけ

            千葉市 小金森まき


愛らしい関係だなぁ。


  土星には土はないけど輪があって
  あなたの妻は私ではない

            東村山市 高橋茉利


前半と後半が論理的につながっていないことが
かえってミステリアスな怖さを感じさせた。


(下線部クリックで、同じ作者の別の作品が読めます)


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