菜箸のように机に腕を投げ出す(音羽 凜)

クリッピングから
讀賣新聞2022年10月17日朝刊
読売歌壇(俵万智選)
今週の好きな歌3首、抜き書きします。


  長過ぎる会議が終わり
  菜箸のように机に腕を投げ出す

          東京都 音羽


    【評】足が棒のようになるという比喩は昔からあるが、
       腕が菜箸のようになるとは!
       しなやかさを奪われ、投げ出された腕二本が、
       なんともユニークに疲れを伝えてくれる。


ジャコメッティの彫刻が腕を投げ出している絵を
想像してしまいました(苦笑)。


  横に座りまた降りてゆくにおいあり
  僕が目を閉じているあいだに

            東京都 浅倉 修


    【評】気配と嗅覚だけの世界。
       公共の乗り物での一場面だろう。
       においが座って降りてゆくという表現が効いている。
       下の句の句またがりも、不思議な感じを醸していてよい。


何度か読み返し、万智さんの評も読み直して、
絵が浮かんできました。
「におい」「公共の乗り物」とあるから
てっきり「おなら」を歌ったのかと思い違いしたのです(失礼)。
「におい」を「かおり」に変えたら、
隣に座っていたのは女性になるのかな。


  母さんの文字も覚えていて欲しい
  タッパーに貼る手書きのラベル

          松江市 犬山純子


しみじみ伝わってきました。
タッパーが生活感あっていいですね。