雪は消えるんじゃない、溶けるんだよ(男の子、4歳)

クリッピングから
朝日新聞2022年2月5日朝刊
読者投稿欄「ひととき」
ひ孫のぬくもり


4歳のひ孫の何げないひと言を受けとめた山村さん。
生涯の宝物になる元旦の出来事でしたね。


  昨年の大みそか
  4歳になるひ孫の男の子が2年ぶりに広島から福井へ
  孫夫婦に連れられてやってきた。
  私の娘は33歳の若さで、7歳の息子を残し、
  病気で亡くなった。
  母を亡くした孫は私たちの家で育った。
  その孫が結婚し、ひ孫を連れて帰郷したのだ。
  (略)


  元日の朝、
  広島ではこんなに積もった雪は見たことはないのか、
  ひ孫は大はしゃぎだ。
  早速、みんなで庭に雪だるまを作った。
  午後になると、雨まじりのみぞれで
  雪だるまは小さくなってしまった。


  思わず「雪が消えてしまったね」とつぶやく私に、
  「雪は消えるんじゃない、溶けるんだよ」とひ孫は言う。
  人間の死もまさにひ孫が言ったように、
  この世から消えたのではない。
  ゆかりの人の胸の中に溶けこんでいったのだ。


  4歳のひ孫の何げないひと言に、
  私の心に何かあたたかなものが
  すっと流れていったような気がした。

       (福井市 山村勝子 主婦 84歳)


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