Eテレ「100分de名著/安部公房『砂の女』(解説:ヤマザキマリ)」が面白い。
6月号テキストから引用する。
はじめに 実存の意味を突き詰める「寓話」
今回取り上げる『砂の女』もやはり、
どの時代の誰にとっても、わが身と重ね合わせて読める作品です。
主人公の承認欲求や、自由に生きる権利の主張、民主主義への正当な要求——
それらははたして、ヒトという生き物の群棲的性質にとって、
本当に必要なものなのか。
現在、地球に生きる人々は
パンデミックや紛争などに封じ込まれた状態で、
さらに「自由」を求める困難さと向き合っています。
それらのテーマは、人間が生きていくうえで必ずや直面する
「壁」という大きなテーマに収斂(しゅうれん)されるでしょう。
自分の存在を外部から守ってくれる一方で、
自己と他者を分離し、また人間の集団同士を分断する「壁」は、
ある意味社会の本質ともいえます。
とりわけ昨今は新型コロナウイルス感染症のパンデミックによって、
私たちがふだんいかに見えない「壁」に囲まれて生きているかということが
顕在化しています。
私のような自由奔放に世界各地を移動しながら生きている人間でさえ、
安部公房の文学という啓示的な「壁」にすがっているわけです。
(略)
(pp.7-8)
いよいよ、来週6月26日完結。
伊集院光とのキャッチボールもスリリングで見逃せません。
(『砂の女』以外の作品もヤマザキさんが読み解きます)(伊集院さんが厳選した、読む「100分de名著」)(古市さんがこんなタイトルの本を出しました)