100分de名著/カール・マルクス『資本論』(講師:斎藤幸平)

1月4日から放送が始まった「100分de名著/資本論」。
講師・斎藤幸平が執筆したテキスト、番組での語りが明快で
エッセンスが頭に入りやすい。



テキスト「はじめに」から引用する。


  果たして、資本主義ではない、もっと自由で、平等で、豊かな社会を
  私たちはどうやって構想すればよいのでしょうか。
  かなり難しいですよね。
  けれども、そのヒントが『資本論』に眠っています。


  ”眠っている” というのは、
  刊行されている『資本論』を一読するだけでは
  気づかないかもしれないからです。
  気づきの助けになるのが、
  「MEGA(メガ)」と呼ばれる国際プロジェクトで刊行が進められている、
  マルクスの新資料です。
  (略)


  マルクスが遺した手紙や晩年の研究ノートといった
  新資料を重ね合わせることで、
  彼のエコロジー研究や共同体研究といった、
  これまでとは違う視点からの『資本論』の読解が可能になります。
  (略)


  マルクス自身は「共産主義」とか「社会主義」という言葉を
  ほとんど使っていません。
  代わりにマルクスが用いたのが「アソシエーション」という用語です。
  アソシエーションによって形成・維持される社会とは、
  どのような社会なのでしょうか。
  マルクスが構想した「コミュニズム」とは、
  ソ連や中国のような中央集権的な共産主義とどう違うのでしょうか。
  (略)

                           (pp.8-12)


斎藤はマルクスエンゲルスの新全集を刊行する
国際プロジェクト「MEGA」の国際編集委員会メンバー。
これまで刊行されてこなかった新資料を読み込み、
今回の「100分de名著」講義でそのエッセンスを僕たちに伝えてくれる。


2018年4月、紀伊國屋書店新宿本店で見かけた手書きPOPが
僕が斎藤幸平の名前を知るきっかけだった。
自身翻訳や編集を手がけてきたマルクス・ガブリエルの著書、
『なぜ世界は存在しないのか』を簡潔に、熱く紹介していた。


  「『なぜセカ』の原点はここにある。
   天才誕生の瞬間を目撃せよ!!(斎藤幸平)



「100分de名著」は放送後1週間、「NHKプラス」で無料視聴できる。
興味のある方は下線部クリックでお調べください。


人新世の「資本論」 (集英社新書)

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