毎年、池上彰さんが世界の大問題を新書一冊で解説する
「知ら恥」シリーズを楽しみにしている。
最新作『知らないと恥をかく世界の大問題13ー現代史の大転換点』
(角川新書、2022)を読む。
「プロローグ 世界は新たな時代を迎えた」から引用する。
「知らないと恥をかく世界の大問題」シリーズも、
第13弾まで出すことができました。
「知らないと恥をかく」というタイトルは、
読者に対していささか高圧的で押し付けがましい気もしているのですが、
多くの人に読み続けられてここまでくることができ、
大変うれしく思っています。
これまで毎回、過去1年間に世界で起こった問題を取り上げ、
そこにどんな背景があるのか、その因果関係を知ってほしいと、
歴史をおさらいしながら解説してきました。
毎年、何かしら世界規模の課題に直面するものです。
それでいうと今回、取り上げなければならない世界の大問題は、
何といっても「ロシアのウクライナ侵攻」でしょう。
まさか21世紀になって、
このような世界史が大きく変わるような出来事が起きるとは
思っていませんでした。
なぜロシアは軍事力で隣国を脅すようなことをするのか。
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は何を考えているのか。
(p.22-23)
(略)
さて、未来は不透明で予測不可能ですが、
「混沌とした状況を打破しよう、何とか改善しよう」とするのは結局、人間です。
その人間が何から学んでいるかといえば、過去からです。
歴史を学ぶことによって、政治家たちが何をしようとしているかも
みえてくるようになるのではないでしょうか。
それが歴史を学ぶ意義です。
先人たちは、失敗や成功を繰り返し、
その貴重な経験を「歴史」という形で私たちに残してくれました。
未来のことを知りたければ歴史を学ぶ。
近年、1強の超大国であったアメリカの覇権が揺らぎつつあります。
世界を巻き込む米中の覇権争いはどうなるのか。
まずは、迷走する最強国家・アメリカからみていくことにしましょう。
(p.31-32)
「エピローグ 未来を知るには、未来を創ること」から
最後の一節を引用する。
新型コロナウイルス感染症の流行は
私たちの生活に大きな影響をもたらしました。
コロナ禍を乗り越えた先に、どんな世界があるのか。
ポストコロナをどう生きるか。
30年後の世界を考えてみてください。
人生100年時代、未来を描く想像力が大事です。
未来を考える力を身につけることをは、自らの人生を考えること。
学び方や生き方を選ぶことは、あなた自身に託されています。
たくさん読書をしてください。
興味を持ったどんな分野でもかまいません。
1日30分でもかまいませんから、スマホを置いて活字を読み、
真の豊かさとは何か、考える時間をつくってほしいと思います。
著名な経営学者で "マネジメントの父” と呼ばれた
ピーター・ドラッカーの言葉を最後に紹介して終わりにします。
「未来を知る最善の方法は、未来を創ることだ」
(p.266-268)
編集:辻森康人(KADOKAWA)、八村晃代
巻末の3頁に渡る「主要参考文献一覧」掲載。
池上さんの読書傾向を参照し、
自分が問題を深掘りして考える際に役立つ。
(過去の「知ら恥」シリーズとの併読も面白い。この方法も「歴史から学ぶ」ことなのかな?)