クリッピングから
朝日新聞2022年7月16日朝刊別刷be
「悩みのるつぼ」回答者:文筆業 清田隆之
相談者:女性 70代「会わない友に贈り物 続ける?」
贈り物のやりとりにしんどさを感じ、
関係を終わらせることを望んでいる一方、
<50年の歴史>を捨てていいのかという思いもあり、
気持ちの整理がつかずにいる。
それが相談者さんの現在地です。
(略)
その上で今後の行動を考えてみると、
三つの方向性があり得そうです。
ひとつは「関係性を感情に見合うサイズに変えていく」というもの。
これまでも年に1〜2回会う間柄から
贈り物だけの関係に変えてこられたと思いますが、
それをさらに推し進め、例えば形式重視で
心をこめる必要のない年賀状だけのやりとりにしていく。
(略)
もうひとつは「感情の回復を試みる」というもの。
これはむしろ積極的にコミュニケーションを取ることで、
自分の思いを伝え、相手の気持ちを知ろうとするアクションですね。
(略)
そして最後は「意思を伝えて関係を断ち切る」というもの。
今のままフェードアウトもできなくはありませんが、
いきなり音信不通になれば友人も心配になるだろうし、
逆に連絡の頻度が増えてしまうかもしれない。
何よりそのやり方では
<50年の歴史は大事にしたほうが良いのでしょうか>
という懸念を払拭(ふっしょく)できるのか……。
もし断ち切るならば、正直な気持ちを言葉にし、伝えた上で
さよならすべきだと私は考えます。
(略)
自分にとって友人はどんな存在で、
友人には自分はどんな存在だったのか。
いま一度考えを整理しつつ、
悔いのない選択ができることを願っています。