三好徹『小説ラストボロフ事件ーー赤い国から来たスパイ』
(廣済堂文庫、1986)を読む。
佐藤優さん有料メルマガ「インテリジェンスの教室」
(Vol.262)2023年10月11日発行 <読書ノート>連読欄で紹介。
ジャパンナレッジ・日本大百科全書(ニッポニカ)から
「ラストボロフ事件」の項目を引用する。
ラストボロフ事件
1954年(昭和29)に起きた日本を舞台とするスパイ事件。
同年1月24日、元駐日ソ連代表部の二等書記官
ユーリー・A・ラストボロフが失踪 (しっそう) 、
同元代表部は彼がアメリカ情報機関に抑留されたと発表した。
ラストボロフは自主的にアメリカ当局に保護を求めたものであり、
1月26日には米軍用機で不法出国していた。
アメリカのこの措置は日本の主権を侵すものであったが、
外務省はこれを不問に付し、亡命の事実も否定し続けていた。
8月14日になって、日米両国で、
ラストボロフはソ連内務省所属陸軍中佐として日本に派遣され、
日本人エージェントを使ってスパイ活動をしていたこと、
またアメリカに亡命したことが公表され、
外務省事務官3名がスパイ活動に関係したとして逮捕された。
取調べ中に1名が自殺、
残りの2名は国家公務員法第100条(秘密を守る義務)違反などで起訴された。
1名は60年11月最高裁で有罪確定(懲役6か月、罰金100万円)、
1名は65年3月東京高裁で無罪が確定した。
講和発効後まもない時期の、不透明な部分の多い事件であった。
[荒 敬]
"ラストボロフ事件", 日本大百科全書(ニッポニカ),
JapanKnowledge, https://japanknowledge.com , (参照 2023-11-13)
(佐藤優さんが同<読書ノート>で紹介した本書以外の3冊)