月曜日は子どものお迎えに行くので定時で帰ります

クリッピングから
朝日新聞2024年4月13日朝刊
読者投稿欄「ひととき」
今年度も一緒に


  私たち夫婦は、お互い教師をしていて知り合い、結婚した。
  小学生の2人の子どもがいる。
  夫は指導主事という立場になって5年目。
  忙しい。忙し過ぎる。
  毎日帰宅が遅く、家事、育児の負担が、妻の私にのしかかる。
  仕事が大変なのは理解していても、モヤモヤが募る。


  新しい春が来る前に、勇気を出して夫に伝えた。
  「夫は遅くまで仕事で、妻は早く帰って家事育児。
  令和の時代に、このままでいいの?!」
  「夫婦は平等になれないの?! 
  私はそういう世の中を変えたくて、職場でも戦っているよ!」


  するとあまりのけんまくに、夫はなぜか笑い出した。
  そのうちに涙が出てきて……
  泣きながら笑っていた。
  「おれ、こんなに、がんばってるのになぁ」
  めったに見せない涙に、はっとした。


  そうだ、夫はがんばっている。
  ゴミ出し、皿洗い、交代でお弁当作り、
  学校の書類書き、土日の夕飯作り。
  多くの負担を自分が背負っている感覚になっていたけれど、
  よき夫であり、父である。


  新しい春、夫は職場のあいさつで、
  「月曜日は子どものお迎えに行くので定時で帰ります」
  と伝えたらしい。
  今年度も、一緒にがんばろう。

      (東京都北区 千田萌 小学校教員 42歳)