盛り付けを終えた夕げの「 。」として(小林真希子)

クリッピングから
讀賣新聞2024年4月16日朝刊
読売歌壇(俵万智選)
今週の好きな歌3首、抜き書きします。


  つらいとき見上げる空はすごく青 
  そうじゃないときそれなりの青

        枚方市 坊 真由美


    【評】「つらい」「そうじゃない」、
      「すごく」「それなり」というシンプルな対比が印象的で、
      思いがストレートに伝わってくる。
      本当は空はいつも変わらぬ青なのだけれど、
      こちらの気分で励ましモードに見えるのだ。


  改札を抜けて大股に駈けて来る
  あなたの見えるこの店が好き

      東京都 河野多香子


    【評】待たされる側であっても、
      自分のために急いでくれる姿を見るのは幸せだ。


  盛り付けを終えた夕げの「 。」として
  端にひと粒置くミニトマト

          平塚市 小林真希子


今週のもう2首。


  水溶性だった寂しさ雨の中
  くるくる傘を回して歩く

     大和郡山市 本田岳


  もし今もあなたと文通していたら
  病気のことを書いただろうか

        堺市 一條智美



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