Yuji Shiota "Sara and Sandy"



僕がアドフェストでもっとも楽しみにしている
セッションのひとつが、"Fabulous 4"。
アジアパシフィックのヤングディレクターたち
(まだ7本以上の作品を演出していないことなどの
条件がある)に脚本を応募してもらい、
優秀作4本を選び、ショートフィルムに仕上げてもらう。
その作品をこの場で上映し、ディレクターのコメント、
審査員のコメントを紹介するセッションだ。



このセッションで
これまでKosai Sekineなどのディレクターが脚光を浴び、
海外でも活躍を始めている。
今年のテーマは、"Made in Asia"。
かなり領域が広く、あいまいなため苦戦が予想されたが、
どうしてどうして力作揃いだった。



 (写真右端がYuji Shiota)


一位を決めるコンペティションではなかったが、
審査員のCertificateを獲得したのは日本代表、
Yuji Shiotaの作品、"Sara and Sandy"だった。
臓器移植を扱った異色作で審査員から高く評価された。
僕自身は、一度見ただけではストーリーが複雑すぎて
意味が分からなかった。意欲作であることは感じたので
二度三度と観れば初見とは異なる印象を持つだろう。
Yuji Shiotaさん、Shiotaさんが所属するHATのみなさん、
おめでとうございました。



僕はヤングロータス、Fabulous 4に代表される
若手への機会提供と才能認知の場に
アドフェストがよりシフトしていくとおもしろいと考えている。
世界のあちこちの国際広告賞で受賞した仕事に
何度も何度も賞を与えるより、
その方がよほど鮮度があり、驚きがあり、
未来への投資価値があると思うのだ。
アドフェストのプレジデントである盟友Jimmyに
いつか話してみよう。




 (ジープのシリーズの一点。異なる世界を象徴する
  イラストレーションが交わる部分がジープのカタチになっている)


ポスター、デザインの両部門では
クアラルンプールのジープの仕事がダブル・グランプリを受賞。




 (一見するとよくある山水画だが、
  クローズアップすると発電所の設備が乱立している)


山水画を使った上海の公共広告の仕事も
数え切れないほどのゴールド、シルバーを受賞した。
アジアパシフィック全域に
受賞広告会社、制作会社が広がったことを示している。



残念だったのは、せっかく受賞を果たしたものの、
経済的な事情か、仕事の事情か、
受賞者不在の場面が多かったことだ。
賞は、同じ仕事をしている仲間たちに
嫉妬される仕事に与えられることが基本である。
嫉妬される当人にはぜひその場にいてほしい。



明日は残った部門の授賞式が行われるが、
僕はトンボ帰りのため、最後まで出席することができない。
最終の授賞結果は以下のアドフェスト公式サイトで入手できる。


  http://www.adfest.com/WINNER.pdf


受賞者のみなさん、おめでとうございました。
今年、惜しくも敗れた人、エントリーできる仕事がなかった人は、
きょうから次の闘いの準備を始めよう。