博士の教えと旅する技術

敬愛するワイル博士によれば、
脳の老化を防ぐためには、
  (1) 外国語の学習 
  (2) 使い慣れたコンピュータのOSを
    意識的にときどき変えて再学習する
の二点が有効である。


  wikipedia:en:Andrew Weil



   (ベルリンでの夕食はベルリンスクール時代に通った
    「老友記」に決めた。早くてうまくて、まぁまぁ安い。)


僕は(1)(2)に加えて、
  (3) 海外をひとりで旅する技術の習得・維持
を挙げてみたい。


それにはまず言語が有効であることは間違いなく、
英語能力を持つことは旅において翼を所有することを意味する。
さらに旅する国が英語圏でなかったら、
その国の言葉のいくつかの単語やあいさつ文を覚えて
繰り返し使ってみることで旅はずいぶん豊かになる。
僕のドイツ語も4年半前と比べたら上達した。



   (朝食バイキングのベーコンは塩辛かった!)


旅は日常からの脱出であり、
そのために大中小の困難が常につきまとう。
その困難を解決するには、
他人にものを尋ねる技術、他人にものを依頼する技術が有効である。


どんなに旅慣れた人も、
旅の困難を自分ひとりですべて解決することはできない。
むしろ、自分の限界を知り、
困難に対応するために他人といかにコミュニケーションを図るか
を心がけるのが旅慣れた人の定義だろう。



自分のねぐらを確保する技術。
ひとりで食べる場所を見つけ注文し
食べたいもの飲みたいものにたどり着く技術。
移動手段を見つける技術などは
ひとりで旅してみないとなかなか習得することができない。
誰か頼る人がその場にいれば、脳は学習することを放棄する。



したがって、ひとりで旅するときには、
大げさに言えば全細胞、全神経をとぎすます必要があり、
けれどそれだけでは人間、くたびれてしまうため、
同時にどこかで気を抜いている技術が必要になる。
二つの技術の両立は、意識的に訓練しないと身につかないものだ。
僕もいつもうまくいく訳ではもちろんない。



さらには、他人と雑談する技術、
他人と食事をともにする技術などは
外国語の習得とは似て異なる技術である。
外国語が得手でなくとも、そうした技術を豊かに身に付けている人はいる。
うらやましいことだ。


やっかいなことも多い海外ひとり旅だが、その分、収穫もある。
加えて脳の老化を防ぐことに役立つなら、
身に付けておけば生涯を通じて価値ある技術になるだろう。
今度の旅でも僕はそのことを再確認した。



   (ベルリンで宿泊したホテル。
   一面が全面窓ガラスでレースのカーテンを閉めないと
   着替えもうっかりできないのが難点)