三連休二日目、ジョージ・オーウェル『1984年』
(高橋和久訳/トマス・ピンチョン解説)を読む。
ずっと気になっていた一冊だが、ようやく読了。
訳者あとがきによれば、
英国での「読んだふり本」第一位が
オーウェルの『1984年』であるのには苦笑した。
知的な雰囲気を演出するのに都合のいい作品なのか。
いまさら読んでないとは言えないのか。
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ちょうど村上春樹『アンダーグラウンド』と
並行して読んでいたものだから、
前半部分の陰々滅々とした雰囲気が重く読み進めるのがつらかった。
既に読了していた副会長が
「後半は予測していたのとまったく違った展開になりますぜ」
と言ってくれたのを励みに、後半部に挑んだ。
確かにウィンストンとジュリアが逮捕される場面から
物語は急速に展開する。一気に最後まで読んでしまった。
(Tora's Barのつまみに
イカ大根煮、肉豆腐を作ってみました)
全体主義はスターリン共産党やナチズムに代表されるように
人類の歴史に負の遺産を残した。
けれども、そうした人間性を否定する思想や組織、社会の仕組みが
すべて過去のものになったとは僕には思えない。
『1984年』に描かれる全体主義国家のリアリティに
暗澹たる思いになることが何度もあった。
- 作者: 村上春樹
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村上春樹『1Q84』は書名を見れば分かるように、
オーウェル作品へのオマージュとも言えるだろう。
そして村上が『アンダーグラウンド』で核心に迫ろうとした
オウム的なるものは、オーウェルの『1984年』に直結している。
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さらには、厚労省・村上厚子さんが被疑者となった
「凜(りん)の会事件」の本質も
オウム的なるものに通じているように僕には思える。
『文藝春秋』10月号の村木さんへのインタビュアーが
オウム事件を追究した江川紹子さんであるのは偶然ではあるまい。
権力は時代により国により姿形は変えるものの、
勤勉かつ思考停止する人間を大量に創り出そうとする。
そのとき原動力に使うのは恐怖と無知である。
wikipedia:en:George Orwell
wikipedia:en:Thomas Pynchon
(文中一部敬称略)