トルーマン・カポーティ/村上春樹訳
『誕生日の子どもたち』(文藝春秋、2002)から
村上春樹の訳者あとがきを一部引用する。
個人的なことを言うと、
僕が初めて英語で読んだカポーティの短編小説は
この『無頭の鷹』である。
高校時代に英語の副読本に収められていたこの小説の抜粋を読み、
その文章の比類のない美しさに打たれて、
すぐにペーパーバックを買ってきて全文を読んだ。
それからしばらくのあいだ熱病にかかったみたいに
カポーティの文章を英語で読み漁ったことを記憶している。
そういう意味では『無頭の鷹』は僕にとって
特別な意味を持った作品であると言ってもいいだろう。
ほぼ十年ぶりに読み返してみても、
古いと感じるところはひとつもなかった。
(p.243)
The Grass Harp (Vintage International)
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『誕生日の子どもたち』と『感謝祭の客』は
本書のために新たに訳出した。
これらの作品にはほかの翻訳者の方々の手になる
定評のあるすぐれた訳もあり、
今更の感もなきにしもあらずなのだが、
僕(村上)が以前からいつかやりたいと望んでいたものなので、
あえて屋上屋をかさねさせていただくことになった。
(略)
(p.251)
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ブックファースト新宿店「名著百選2017」で
カポーティの『夜の樹』に出会った。
川本三郎の訳に引き込まれた。
英語原文を読みたくなって図書館で借り、
原文のリズムのよさに魅了された。
手元に置きたくなってPenguinの古書をオンライン書店で買った。
同じ作品を村上春樹はどう訳すのか。
図書館で本書を借りてきた。
あとがきを最初に読んでいて、
村上にもカポーティの文章を英語で読み漁った時期があったと知って
なんだかうれしくなってしまったのだ。
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(文中敬称略)