宮崎市定『中国史(下)』(1978)(再読)


繰り返し読んでも
そのたびになにか発見がある。
それが名著の条件である。
宮崎市定『中国史(下)』を再読する。
上巻に続き近世史北宋・遼から
最近世史人民共和国までを取り上げる。


中国史 下 (岩波全書 303)

中国史 下 (岩波全書 303)


一国が興り一国が滅びるのは
どのような力が働く結果なのか。
皇帝の力の影響はやはり大きい。
賢帝もいれば愚帝も多い。



人は飢えれば軍人も平民も暴動を起こす。
その力がうねれば
いかな皇帝の権力も根底から揺さぶられる。
俯瞰から何百年何千年分の権力争いを観察していると
人の世のうねりが少しは理解できる。
その原動力はどうやら善悪の通念とは大分違うようだ。
とすると人が生きる意味はなんなのか。



宮崎の筆致は事実を自分の視点で淡々と結び、
ときおりエイヤッとばかり洞察が現れる。
その視点で自分がいる「いま、ここ」を眺め、
現在を動かす原動力を考えてみたい。



巻末に宮崎自身による
宮崎著作の「参考文献解説」11頁がおさめられる。
国史アジア史の勉強を深めるのにとても役立ち有難い。


(文中敬称略)