三本締めとスカスカ果実


よく晴れた土曜日の朝ではあるが鳥居坂に向かう。
ベルリンスクール東京プログラム最終日である。
ゲストに呼ばれている。
海プログラム、東京プログラム、
各一週間の総決算として参加者たちがなにを持ち帰るか、
全員で再考し発表し議論し検証する。
こうしたプロセスを経ないと、
学んだはずのことが身体化しない。



前日夕方からは大手コンビニエンスストアCEOに
直接プレゼンテーションするハイライトセッションがあった。
その後、映画『キル・ビル』で有名になったレストランGで打ち上げ。
飽きたらぬ強者たちは、六本木界隈のクラブに繰り出した。
予測はしていたが、15分前になっても
國際文化会館会議室には誰も来なかった。



それでも定刻をさほど過ぎずに
ラップアップセッションが始まった。
数人は仕事の都合で既に帰国しつつある。
さすがに意欲、才能、茶目っ気のある連中の洞察だけに毎年面白い。
僕たちがあたりまえのこととして見逃している
日本の組織、政治、文化などの特徴について
中国(上海)との対比で議論が進み深まっていく。



午前中3時間のセッションの最後は
一橋ICS藤川教授の発声で吉例三本締め。
ラップアップ完了だ。
充実感とともに、ジュース絞り器で絞られ尽くした
果実になった感覚を味わう。
ああ、この感覚はベルリンスクールに通っていたとき、
クリエーティブ・ディレクターに昇格したばかりのとき、
いつもあったヘトヘトへろへろのあの感じだなぁ、と懐かしい。



スカスカ果実になった僕はみなと別れ、
六本木アカデミーヒルズに向かう。
きょうから11月まで続くあるプロジェクトチームに
自分の意志と費用で参加することにしたのだ。
会社の仕事とは関係がない。
5月の連休中に課題を仕上げて応募し
選抜試験に合格したのだ。
20代前半から最年長の僕まで32名に
メイン・ファシリテーターのY.I.教授と事務局2名。
ゲストが毎回参加の予定だ。



僕の勤勉な半分が、
僕の怠惰な半分のケツを叩いている。
そうでもしないと、
日頃のComfort Zoneから飛び出すのが難しいことを
少なくとも勤勉な半分の僕は知っている。


ああ、それにしてもヘトへろだなぁ、きょうは。
きょうから6月が始まった。