教育行政のトップは、こういう人


スクラップブックから。
朝日新聞2017年5月26日朝刊。



池上彰の新聞ななめ読み」
加計(かけ)学園「総理の意向」文書
それでも認めないトップ。



   この紙面構成にするに当たっては、
   社内で議論があったのではないかと
   勝手に推測しています。
   加計学園をめぐる特ダネ記事を1面トップにするか、
   眞子さまの婚約見通しをトップにするか。
   朝日は独自路線を選択しました。
   いい判断でした。


   加計学園の新学部に関し、
   安倍晋三首相の意向が働いたかどうか。
   これが最大の焦点でした。
   それを示す内部文書が文部科学省の中にあった
   というのですから、スクープです。
   (中略)



   これを調査というのか。
   都合の悪い文書の存在が明らかにされたため、
   関係者たちが右往左往している様子がわかります。
   この対応に朝日は追い打ちをかけました。
   25日付朝刊で文科省前川喜平事務次官
   インタビュー記事を掲載。
   事務次官在職中、問題の文書を見たと証言したのです。


   怪文書ではなくなりますが、
   松野文科相は25日の参議院文教科学委員会で、
   「すでに辞職された方の発言であり、
   文科省としてコメントする立場にない」
   と述べています。
   何としても認めたくない。
   教育行政のトップは、こういう人なのです。



前川前次官が在職中「出会い系バー」に通ったことや、
天下り問題で辞任する際、地位に恋々としていた」(菅官房長官談)
などの指摘は問題の本質とはまったく関係ない。
個人攻撃(とりわけ下半身問題)で問題をすり替えるのは
権力、一部メディアの常套手段だ。


1971年沖縄返還協定に関する
外務省機密漏洩事件を思い起こす。
西山太吉毎日新聞記者(当時)への個人攻撃
(同じく下半身問題)による問題のすり替えと同じ構造だ。


密約―外務省機密漏洩事件 (岩波現代文庫)

密約―外務省機密漏洩事件 (岩波現代文庫)


総理が役人に圧力をかけ、
知人に便宜を計らったことが事実だとしても
法には触れないのだろう。
ただし、モラルの問題はある。


自己都合で時としてルールを遵守しないリーダーや
彼の率いる政党が提案し通過させる法案を
国民として無条件に信じられるだろうか。
組織的犯罪処罰法改案(テロ等準備罪創設)しかり、
憲法九条追記案しかり。
疑問に思う。


朝日スクープを丁寧かつ冷静にフォローした
池上記事は秀逸。
新聞を読み比べることが大事と主張する氏の真骨頂でした。


(文中一部敬称略)