理解できない記事が掲載されるから面白い


クリッピングから
朝日新聞2017年12月16日朝刊1面トップ記事
数学の超難問 ABC予想「証明」
京大・望月教授 論文掲載へ



数学の記事が1面トップを飾るのは珍しい
と思って社会面関連記事をクリッピングしておいた。


   数学の超難関「ABC予想」が、
   日本人によって証明される見通しになった。
   数学史に残る偉業だ。
   論文筆者である京都大数理解析研究所
   望月新一教授(48)は、
   自身のホームページ(HP)以外での社会に向けた発信は限られ、
   一層関心を集めてきた。▶1面参照


同紙12月22日朝刊
月一連載コラム「池上彰の新聞ななめ読み」で
池上さんがこの記事を取り上げた。



ご自身が好きな小説、
小川洋子さんの『博士の愛した数式』(新潮文庫)から稿を起こし、
ABC予想」証明の記事を取り上げます。


   なるほど、そういうことなのか……
   などとは言えません。
   何のこっちゃ、です。
   これは果たしてニュースなのか。


   私はよく朝日の記事のわかりにくさを批判しますが、
   この記事は批判のしようがありません。
   そもそも全く理解できないからです。
   理解できないものを評することはできませんが、


   だからといって、こんなものを掲載するな、
   と言いたいのでもありません。
   こういう記事が掲載されることがあるから
   新聞というのは面白いものなのです。


博士の愛した数式 (新潮文庫)

博士の愛した数式 (新潮文庫)


続いてこの記事を1面トップに据えた
責任者の勇気に触れながら、
他紙の同日1面記事と比較検証。
「暇ネタ」ばかりだったことを確かめ、
朝日記事もストックされていたのではと推論します。


社内でも記事掲載をめぐって批判があったのではと指摘し、
12月18日付朝刊「天声人語」が助け船を出したことを取り上げます。
そして結語。


   こうなると、新聞に掲載すべきニュースとは何か、
   という問題に逢着(ほうちゃく)します。
   読者のみんなが理解できなくても
   ニュースだと思えば報じればいい。


   いやいや、そんなことを続けていたら、
   紙面はひとりよがりになる。
   議論は尽きません。
   掲載の判断もまた難問なのです。
              ◆東京本社発行の最終版を基にしています。




自分の目に止まった記事を
池上さんが取り上げ解説してくれる。
僕の新聞を読む技術も少しは上がったのかなと
うれしくなる。


ABC予想の内容と
今回望月教授の達成した業績については
いずれサイモン・シンに分かりやすく解説してもらいたいな。


フェルマーの最終定理 (新潮文庫)

フェルマーの最終定理 (新潮文庫)