村上春樹『騎士団長殺し』と併読していて
シンクロニシティを何度も味わった。
マルクス・ガブリエル/清水一浩訳
『なぜ世界は存在しないのか』(講談社、2018)を再読する。
- 作者: マルクス・ガブリエル,清水一浩
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2018/01/13
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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冒頭から引用する。
わたしたちはどこから来たのか。
わたしたちはどこに存在しているのか。
そもそもこの世界全体とは何なのか……。
(略)
今しがた掲げた問いのうち最初の二つは、
いずれも小学校時代、
学校から帰る途中だったわたしに
ふと思い浮かんだものです。
以後、いずれの問いも忘れたことがありません。
(略)
また別のときには、
時間が過ぎ去るということを明瞭に意識した結果、
「今」という同じ言葉が
そのつどまったく別々の状態を指し示しているのを
自覚するに至ったこともありました。
おそらくこの瞬間に、
世界は存在しないという着想が生まれたのでした。
この着想を哲学的に掘り下げ、
すべては幻想にすぎないという考えから区別するのに、
わたしの場合じつに二〇年の歳月を必要としたわけです。
(pp.26-27)
小説、哲学とアプローチの方法は違っても、
村上、ガブリエル、二人の脳裏に浮かんでいる疑問は
変わらないようだ。
わたしたちはどこから来たのか。
わたしたちはどこに存在しているのか。
現実と非現実の境界があいまいにぼやけるとき、
その疑問が何度も思い浮かぶ。
『騎士団長殺し』を味読すればするほど、
ガブリエルの新実在論の理解が深まる気がどうもする。
- 作者: 村上春樹
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2017/02/24
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