南巨摩郡・奈良田温泉に来ている


旅の資金を提供してくださった奇特な方が天国にいらして、
秘湯会副会長とふたり、奈良田温泉に来ている。
ここに来るのはもう十年ぶりくらいだろうか、
名湯で知られる白根館だ。
内湯がふたつ、露天風呂がふたつ。
男女日替わりですべての湯を堪能できる。



昼間中続いた工事が終わり、
現場の男たちが三々五々引き上げていく。
日本一人口の少ない町(1,000人)、
南巨摩郡早川町一帯に静寂が訪れる。
山の湯が好きな客ばかりが好んで泊まる宿だから、
団体客、カラオケの不粋とは無縁だ。



湯に浸かった後で昼寝してると、
身体の要所要所を留めていたネジがぜんぶゆるんで
全身がバラバラになってしまうようだ。
後で元通りにネジがしまるといいのだが。



夕食後は部屋に氷、水を運ぶ。
秘湯会公式ボトルの角瓶と
同居人が持たせてくれたサントリーの和風ジン「六(ろく)」を
眠くなるまで、ふたりでちびりちびり飲る。
雷光が断続的に続く。