ヨゼフ・ルクル・フロマートカ『宗教改革から明日へ』(平凡社、2017)


同志社講座2018「宗教改革とは何か?」(佐藤優講師)
の教科書に指定された。
今年もなかなか手強い。
三回通読しないと腹落ちしないだろうな。
ヨゼフ・ルクル・フロマートカ/平野清美訳、佐藤優監訳
宗教改革から明日へ—近代・民族の誕生とプロテスタンティズム
平凡社、2017)を読む。


宗教改革から明日へ: 近代・民族の誕生とプロテスタンティズム

宗教改革から明日へ: 近代・民族の誕生とプロテスタンティズム


この本をいま講義で取り上げる意義は
「監訳者まえがき」を読むと分かる。


   ルター自身は、中世的な枠組みで思考していた。
   しかし、彼の信仰的良心に基づく行動には、
   中世的世界観を根底から覆すエネルギーがあった。
   ドイツのルター、それに続くスイスのツヴィングリ、
   カルヴァンによる宗教改革がなければ、
   近代は生まれず、資本主義が生まれることもなかった。
                        (p.4)


ルターらの16世紀の宗教改革のおよそ100年前に起きたのが、
フスを中心とするチェコボヘミア宗教改革だ。


   実は、ローマ教皇キリスト教世界のトップである
   という教皇首位権を否定し、
   教皇によるヒエラルキーに基づかない
   目に見えない教会が存在することを堂々とフスが主張したことが、
   宗教改革の起源なのである。
                         (p.4)


宗教の世界、キリスト教の世界を
頭で合理的に理解しようとするのは難しい。
こうした思考が、近代が終焉を迎えつつあるいまも
世界を支配していることは否定しがたい。
米国でトランプ大統領が選出され、いまも支持が続くことは
その一つの現れに過ぎない。
世界の変化の解読には、避けられない領域だ。


中型引照つき聖書 旧約続編つき - 新共同訳

中型引照つき聖書 旧約続編つき - 新共同訳


本講座の教科書の一冊である聖書も折に触れ、
紐解くようになった。
確かにそこに、どうしようもなく人間が存在し、
人間性が語られていることは分かる。
不信仰を責められる気がするので、
一度に大量に読むことはせず、ポツリポツリと拾い読む。
宗教は民衆の阿片だとマルクスも25歳の時の論文
ヘーゲル法哲学批判・序説」で言っていることだしね。



本書出版が宗教改革500周年に
間に合ったことを祝福したい。


編集: 吉田真美(平凡社


人間への途上にある福音

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