佐藤優・宮家邦彦『世界史の大逆転』(角川新書、2019)

ともに外務省OBで国際情勢分析の専門家。
手軽な新書だが読み応えがあった。
佐藤優・宮家邦彦『世界史の大逆転ー国際情勢のルールが変わった』
(角川新書、2019)を読む。



丁々発止の対談が6章にまとまっている。
目次を引用する。


   第1章 米朝首脳会談後の東アジア
   第2章 国際情勢は「感情」で動く
   第3章 核抑止から核拡散の時代へ
   第4章 混迷する中東と「脱石油」の衝撃
   第5章 AIが世界の「常識」を覆す
   第6章 民主主義はもう限界なのか


佐藤の宮家評を「あとがき」から抜き出してみる。


   机上の空論を弄ぶ一部の国際政治学者とは異なり、
   宮家氏の分析は、外交官としての知識と経験に裏づけられている。
   宮家氏は、英語、アラビア語、中国語に堪能で、
   実務においてもアメリカ、中東諸国、中国を担当している。
   理論と経験を結びつける強靭な知力が宮家氏には備わっている。
                          (p.221)


一方、宮家は佐藤と自分の違いについてこう書く。


   知的領域でも接点は少ない。
   彼の専門がヨーロッパ、ロシア、神学、哲学などであるのに対し、
   私が経験したのはアメリカ、中東、中国だったからだろう。
   しかし、ここまで接点がないと逆に妙な気負いもなくなるから
   不思議なものである。
                          (p.3)


外務省時代に話をしたことがなかった二人が
こうした本を出版したのが面白い。
読者は!と感心したり、?と首をひねりながら、
自分なりに世界情勢解読を深める目的に本書を使える。


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(佐藤が「世の『嫌韓論』とは次元が違う」と推薦した宮家著書)
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