クリッピングから
讀賣新聞2019年9月5日朝刊
訃報 池内紀さん死去 78歳 ゲーテ翻訳やエッセー
ゲーテやカフカの翻訳から上質なエッセーまで、
幅広く文筆活動を展開したドイツ文学者の
池内紀(いけうち・おさむ)さんが8月30日、
虚血性心不全で死去した。78歳だった。
(略)
東大の教壇に立つ傍ら、
山や温泉など様々なテーマを扱った文章でも人気を集めた。
96年、55歳で「隠居をしたい」と退官し、文筆に専念。
親しみやすい日本語の翻訳により、
ゲーテの「ファウスト」で毎日出版文化賞、
「カフカ小説全集」で日本翻訳文化賞。
(略)
弟の了(さとる)さんは宇宙物理学者、
次男の恵(さとし)さんはイスラム研究者。
(左に社会学者ウォーラーステイン、下に長谷川慶太郎の訃報が掲載された日)
10月に開講する同志社社会人講座、
佐藤優さんと中村うさぎさんのクラスでは
池内紀さんが翻訳したフランツ・カフカ『城』を解読する。
古書店サイトで購入して、ポツポツ読み始めたところだった。
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東大文学部教授を定年前の55歳で退官し、
「隠居生活」に入っていたとは知らなかった。
アカデミアの誰もが望む地位を自ら捨てることは、
そうそう真似できることではない。
だからこそあれだけの量の、
幅広い執筆活動ができたのだろうと腑に落ちた。
「早め」の退官を選択することで、
23年分の「隠居時間」を手に入れたのだ。
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2017年出版の『すごいとしよりBOOK—トシをとると楽しみがふえる』が
シニア生活の励みになって、読むのが楽しかった。
こんな「隠居」ができるならちょっと憧れるな、
と思っていたのだ。
池内さんのことだから、
天国でも辺りを散策し、エッセーを執筆しているかもしれませんね。
どうぞ安らかにお休みください。
(記録し忘れたが、おそらく朝日新聞の訃報)