西原理恵子・佐藤優『とりあたま元年—最凶コンビよ永遠に!編』(新潮社、2019)

最強コンビならぬ「最凶コンビ」とは池上彰さんの命名です。
「とりあたま」シリーズ最新刊、
西原理恵子佐藤優『とりあたま元年—最凶コンビよ永遠に!編』
(新潮社、2019)を読む。


(本シリーズは文庫でなく、オリジナル変型単行本で読むのが断然よい。
 西原漫画のディテールが味わえる)


巻末に載っている池上さんの「特別コラム 其の一」から引用する。


  かつて日本経済新聞の最終面に渡辺淳一氏の小説が連載されていたとき、
  新聞を最終面から読み始める読者が多かったといいます。
  「週刊新潮」を後ろのページから開く読者もいるのではないでしょうか。
  それは、ここに「週刊鳥頭ニュース」が掲載されているからです。


  これは、「元・被告人」の佐藤優氏と、漫画家の西原理恵子さんという、
  不思議なコンビによる「ニュース解説」です。
  「プーチン」やら「オバマ」やら「エコポイント」やら、
  ニュースに登場する旬なネタが「お題」として編集部から提示され、
  これを、佐藤氏は文章で解説し、
  西原さんは例のタッチの漫画で取り上げる趣向です。
  (略)


  一方、この一回目で、西原さんは佐藤氏を漫画で紹介しています。
  佐藤氏のことを「旬の被告人」「旬のデブでもあります」
  と表現するではありませんか。
  コンビなのに、まったく容赦がない。
  その上、佐藤氏について、拘置所生活が長かったので引きこもり。
  「新連載第一日目ですでに音信不通」などと書いています。


  さらに漫画の中で佐藤氏は、「プーチンは気の強い女が好きで−」
  「でもロシアでねんまくをこすり合わせるのはキーケーン!」
  などと語っています。
  これ、本当に話したのだろうか。
  「新連載第一回目ですでに音信不通」のはずなのに。
  書名には「最強コンビ」とありますが、
  私に言わせれば「最凶コンビ」です。
  (略)


  (掲載 「波」2011年2月号『週刊とりあたまニュース 最強コンビ結成!編』書評)


(本シリーズ第1作。すべてはここから始まった……)


特別コラムにはこの他、
堀江貴文「時事ネタ学ぶなら、これを読め!」、
茂木健一郎「アイスクリームの冷たさとコーヒーの熱さ」の二本を掲載
(いずれも「波」初出)。
オールスター書評の強力布陣である。


「最強コンビ結成!」から、
「最凶コンビよ永遠に!」まで10年。
本書が最終刊になる。
「日大アメフト部」「麻原死刑執行」「追悼 さくらももこ
カルロス・ゴーン逮捕」「バイトテロ」。
最凶コンビならどう料理するか、ワクワクする見出しがズラリ並ぶ。
編集部からの最後のお題は「週刊新潮」。
さて、二人が何を書いて(描いて)いるやら。


(本シリーズとはまるで違う趣向の「とりあたま」コンビ好著)