副島隆彦/佐藤優『ウイルスが変えた世界の構造』(日本文芸社、2021)

年一冊のペースで出版される二人の対論を楽しみにしている。
考え方の違いは明瞭にあるが、
二人とも己の持つ全知見を背景に語っていることが伝わってくる。
副島隆彦佐藤優『ウイルスが変えた世界の構造』
日本文芸社、2021)を読む。


ウイルスが変えた世界の構造

ウイルスが変えた世界の構造


副島の「あとがきー悪の支配による支配こそ人類の原理」から引用する。


  この対談本で6冊目になる。
  本書の第2部の、私と佐藤優氏の宗教についての部分をこそ先に読んでほしい。


『池田大作研究』を2020年に上梓し、
公明党・創価学会関連の著作も数多い佐藤を
副島は激しく揺さぶる。


  佐藤優氏は、2020年9月16日の菅義偉(すが よしひで)政権誕生で、
  自民党公明党創価学会)をつなぐ最高顧問のような立場に登った。
  宗教家(信仰を持つ人)として今や高い境地に達している佐藤優氏こそは、
  創価学会の次の教主(きょうしゅ)になるべき人だ、と私は本書で彼に説いた。
  仏教とキリスト教では宗派がちがう、は理由にならない。
  本書を読めばその理由が分かる。
  (略)


  本書の書名(タイトル)は、
  「佐藤優副島隆彦の宗教問答(あるいは対話)にしなさい。
  その方が超然(ちょうぜん)として、本が売れますよ」
  と、私は執拗(しつよう)に粘ったが、ダメでした。
  勝手にしなさい。


一方、佐藤は
「まえがきーバイデン政権下、米中緊張が一層強まる」でこう書いている。


  (略)
  本書では、イエス・キリストの神性を認めない
  ユニテリアンという教派について多くの頁が割かれている。
  ユニテリアンを理解することが
  国際政治の本質を掴む上で重要だという点で、
  副島氏と私の認識は完全に一致している。
  (略)


  白熱し、時には極論の応酬になった対談を
  見事に書籍にまとめあげることは、至難の業だったと思います。
  腹を割って話すだけでなく、
  腹の底にある宗教や信念体系にまで踏み込んだ議論をしてくださった
  副島氏にも敬意を表します。
  どうもありがとうございます。
  また、このチーム(引用者注:担当・水波、編集・山根を含む)で
  仕事をしたいです。

             担当:水波康(日本文芸社副編集長)
             編集:山根裕之(グラマラス・ヒッピーズ)


題名について副島の意見にも一理ある。
「コロナ」「世界」「構造」などの言葉を冠した類書が
書店に溢れかえっているからだ。
でも、編集者の勘は「宗教問答」「宗教対話」では
本が売れないと判断したのだろうね。