クリッピングから
朝日新聞2020年12月1日朝刊
読者投稿欄「ひととき」 祖父と2人の夕食
神奈川県横須賀市 藤掛結衣 大学生 19歳
いまどき、こんな大学生もいるんだな、
としみじみ記事を読みました。
7月から、大学のオンライン授業を終えると、
家から歩いて数分の祖父の家に行き、夕食を2人で食べている。
その日あった出来事を話しながらの食事はとてもおいしい。
祖父は86歳で、数年前まで祖母と暮らしていたが、
祖母が老人ホームに入居してからは一人暮らしになった。
日課は、近所の散歩と新聞2紙をじっくり読むこと。
健康に気を使って、これまで大きな病気もなく、とても元気だった。
しかし、4月ごろから食事の量が明らかに減り、
横になることが多くなった。
母が病院に連れていくと、祖父は直腸がんと診断された。
私は言葉が出なかった。
いつかいなくなってしまうのは分かっているけれど、
私が生きている間は、祖父も元気でいてくれると思っていた。
祖父だけは「例外」だと信じていた。
祖父は無事に手術を終えて自宅に帰ってきて、
一緒に夕食を食べることになった。
人工肛門(こうもん)をつけることになったが食欲も回復し、
おいしそうに食べる祖父の顔を見ていると、私までうれしくなる。
この時間はずっと続くものではないということをしっかりと心に刻み、
祖父との時間を楽しみたい。
藤掛さんがおじいさまと過ごしている時間の豊かさが
文章から伝わってきました。
ありがとう。