養老孟司/中川恵一『養老先生、病院へ行く』(エクスナレッジ、2021)

クリッピングから
毎日新聞2021年4月26日朝刊
くらしナビ 医療との距離は変わったか
Dr.中川のがんのヒミツ


病院へ行くのをグズる養老先生の姿が目に浮かびます。
自分と同じだな、と思えました(苦笑)。


  解剖学者の養老孟司先生は、
  私の東大医学部時代の恩師です。
  大学卒業後も親交が続いていて、
  今月、「養老先生、病院へ行く」(エクスナレッジ
  という共著を出版しました。


養老先生、病院へ行く

養老先生、病院へ行く


  この本が生まれたのは、
  昨年6月に養老先生が東大病院に来院し、
  私が診察したことがきっかけです。
  診察の結果、養老先生は2週間入院しました。


  養老先生は「病院嫌い」で知られています。
  がん検診も受けたことがありません。
  しかし、今回はどうにも体調が悪く、
  病院に行かざるをえなかったといいます。
  (略)


  禁煙もそうですが、病院に行くと、生活習慣について、
  医者からあれこれ指図されるようになります。
  それを養老先生は
  「野良猫が家猫に変化させられる」と表現しています。
  医療に関わったら、もはや自由な存在ではなくなる
  という意味でしょう。


  それが嫌で、養老先生は、
  これまで医療との距離を取り続けてきたといいます。
  そんな養老先生も、2週間の入院を経験すると、
  医療に対する考え方が変わってきたようです。
  (略)


  養老先生は、現代医療がデータを偏重するあまり、
  治療が画一化している問題を指摘しています。
  それに対し私は、問題はあるにせよ、
  受けるべき医療があることを訴えました。
  (略)


  養老ファンにも、「がんのヒミツ」を知りたい人にも、
  本書をおすすめしたいと思います。


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