余(あま)りが裕(ゆた)かにある(養老孟司)

クリッピングから
東京新聞2020年5月13日朝刊「こどものページ」
養老先生のさかさま人間学
ふだん気付(きづ)かないこと


  たくさんの学校が休みになりました。
  学校だけでありません。
  いってみれば日本中、いや世界中が病気になって、
  仕方がないからみんなで休んでいる。
  そういう状況(じょうきょう)。


  こういうことは、初めてです。
  わたしは八十年以上、生きてきましたが、本当に初めて。
  おかげで休んで、毎日ゆっくり虫の標本を作っています。
  これまで綿(わた)を入れて、さらに紙に包んでしまっておいた虫たちを、
  包みから出して、きちんと標本にするんです。
  (略)


  忙(いそが)しい人は時間の余裕がない。
  きまじめな人や悲しんでいる人は、笑う余裕がない。
  病気の人は元気に動き回る余裕がない。
  そう考えてみると、余裕って大事な言葉ですね。
  余(あま)りが裕(ゆた)かにある。
  君も探(さが)してみたら、きっとどこかに余裕はあるはずですよ。

                 (養老孟司(ようろう たけし)、
                  解剖(かいぼう)学者、筆文字も)
                  =月一回掲載します。


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オフィスや図書館が閉館・休館になって新聞が読めません。
頭と気持ちを切り替えて(お財布のヒモもちょっとだけ緩めて)
毎日コンビニで朝刊を二紙買ってきて読み比べています。
朝日。讀賣。毎日。東京。産経。
前の3紙が150円、後ろの2紙が120円。
日々270円から300円の自己投資(笑)ってやつです。
散歩がてらなので寄るコンビニも日替わりです。


複数紙を丹念に読んでいると
月一回の連載ものにも面白いものがありますね。
「養老先生のさかさま人間学」もそうやって見つけました。
これも「余裕」の賜物……なんですかね。