市外局番03の空(山形さなか)

クリッピングから
讀賣新聞2021年4月26日朝刊
読売歌壇(俵万智選)


今週も好きな歌3首、抜き書きします。


  どこへでも行けるA5の画用紙に
  線を加えて恥ずかしくなる

          川崎市 岡奎那


    【評】画用紙の持つ可能性。
       そこに線を加えることで、
       無限ではなくなると感じたのだろう。
       「行ける」「恥ずかしくなる」という動詞の選び方が、
       独特な感受性を伝え、象徴するものの幅を広げている。


  蛍光のマーカーじゃなく新人に
  付箋のような小言で済ます

         足利市 坂庭悦子


    【評】文具の特徴を生かした比喩が面白い。
       はっきり厳しく言うのではなく、
       いつでも剥がせる付箋のような小言。
       それもまた、よし。


  見上げても君とつながる気がしない
  市外局番03の空

        東京都 山形さなか


恋の歌でしょうか。
「市外局番03の空」と定義されると
空にも境界線があるような気がしてくるのが不思議です。


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