クリッピングから
讀賣新聞2021年7月5日朝刊
「矢部太郎さんの思い出の味」
野原で摘んだツクシ
インタビューを読んでいると、
矢部さんの作品『大家さんと僕』を彷彿とさせる。
人柄なのかなぁ。
連日行くこともあったツクシ狩りからの帰宅後、
ビニール袋にたっぷり入ったツクシの下ごしらえを手伝った。
やっと、食卓に運ばれてきても、すぐには食べられない。
「食べたら消えちゃうから」と、
父がツクシ煮の絵を描き始めるからだ。
(引用者注:父は絵本作家のやべみつのりさん)
完成するのをじっと待つ時間、煮物はどんどん冷めていく。
「温かいうちに食べてみたい、と思っていましたね」
ほろ苦い記憶もある。
友達とツクシ狩りに出かけた際に、
「普通はあまりツクシを食べない」ことを知った。
父が主に自宅で子どもの面倒を見て、
母がフルタイムで働く家庭は当時は珍しく、
豊かとはいえなかった家の事情も推しはかることができた。
(略)
(林理恵)