中井久夫『こんなとき私はどうしてきたか』<シリーズ ケアをひらく>(医学書院、2007)

寝る前に少しずつ噛み締めるながら読む。
中井先生のケアを受けているような気持ちになる。
中井久夫『こんなとき私はどうしてきたか』
<シリーズ ケアをひらく>(医学書院、2007)。


(表紙題字:中井玲子)


カバーに引用された文章を書き留める。


  驚くべき病的体験、
  たとえば世界が粒々に分解するというような、
  まだ誰も報告していない現象を話してくれる患者がいたとします。
  その彼が友達と映画を観に行ったり、
  ベースボールをしたり、喫茶店に行ったりしたことを、
  私は驚くべき病的体験の話よりも膝を乗り出して聴けるか。


  ーーじつはそれは、医学部に入ってから何十年経った人間、
  医者の世界で生きてきた人間にはとてもむずかしいことです。
  この点は、看護師の世界はそれほどではないかもしれない。
  あるいは、たいていの患者は
  看護師が健康な面に光を当てているからこそ治るのかもしれません。

                         (pp.136-137)


    ◆本書は、2005年6月〜06年10月まで、
     兵庫県の有馬病院でおこなわれた「医師・看護師合同研修会」での
     講義内容をまとめたものである。

     編集:白石正明、石川誠子(『精神看護』連載時)(ともに医学書院)

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斎藤環、渾身の「100分de名著」講義テキスト)