お母さん、この子、美大に行きたいと言うよ。お金をためといてあげてや

クリッピングから
朝日新聞2023年8月5日朝刊
読者投稿欄「ひととき」
夢をつかまえた娘


  大学生の長女の就職先が決まった。
  幼い頃から夢に見た職業グラフィックデザイナーへの道に向かって、
  一歩踏み出した。


  小さい頃から絵や工作が好きな子だった。
  小学校1年生の時の担任の先生は、
  絵が得意な方だった。
  あるとき、先生が娘の作品を見て、私にひとこと。
  「お母さん、この子、美大に行きたいと言うよ。
  お金をためといてあげてや」


  びっくりした。
  でも、その日から私の人生の目標は、
  娘を美術大学に進学させることと決めた。
  我が家は母子家庭で次女もいる。
  ぜいたくはできない生活だったが、
  娘の大学進学のためと思い、頑張って働いてきた。


  先生の予想通り、長女は美大に進み、次女も続いた。
  長女が夢にまで見た会社、来春から東京で一人暮らしになる。
  東京は遠い。
  でも、今はオンラインで面接もする時代だ。
  Zoomもある。


  「人生一度きり、夢は見るものではなくつかまえるもの」
  我が家の家訓を現実にしたあなたに私は敬意を表します。
  次は、あなたの作品に憧れて、
  夢を持つ人があらわれるといいですね。

         (大阪市 竹田淳子 販売員 49歳)