クリッピングから
毎日新聞2024年3月2日朝刊
<コモンエイジ 公共のかたち>
東京大准教授 斎藤幸平さんインタビュー
少子化 資本主義の失敗
東京は人口を他の都市から吸い上げるけれど、
それを食い潰すだけで次の世代が生まれてきません。
自分たちではエネルギーも、食料も、何も作ることができません。
典型的な「収穫モデル」です。
東京がどんどん発展することは、
必ずしも日本全体が豊かになるということではありません。
それが資本主義の一極集中がもたらす失敗です。
このままいくと東京の中心部だけは成長し、
そこで暮らせる人たちは一部の特権階級で、
その周りに特権階級に仕えるようにサービス業の低賃金の人たちがいて、
その外には過疎化していく地方という3層構造になりかねません。
今のインバウンド市場もそうですが、
富裕層向けのレストランや百貨店、
高級ホテルなどが次々にできています。
一方、そこで働いている人たちは
必ずしも高給ではありません。
いわゆる「召使」階級です。
彼らは「無料の」スマホのゲームをしたり、
ユーチューブの動画を見たりして、余暇を過ごし、飼い慣らされる。
これが「超格差社会」の現実です。
(略)
【聞き手・藤田剛】